バスの悲劇

 小学校4年生の時、私はバレー部に入っていた。バレー部といっても踊るバレーではない(とっくん注・それは「バレエ」じゃ!)。毎日練習に追われ、いつもバスで帰宅していたのである。 ある日、練習を終えると大雨が降っていた。私は雨宿りをしながらいつものようにバスを待った。しばらくするとバスが来たので、私は雨に濡れないように急いでバスに乗り込もうとした。

しかし、乗り込んだとたん、私の体は宙を舞った。一瞬何が何だか分からない。「大丈夫ですか?」という運転手の言葉ではっと我に返り、顔を上げると私の右手は運賃箱をつかみ、右足がドアに挟まっていたのである。

 そう、私はバスの入り口で滑って転んでしまったのである。とっさに運賃箱をつかむとは私の運動神経もたいしたものだ(とっくん注・運動神経がいいなら転ばないよフツー)、と感心している場合ではなかった。バスに乗っている人が自分に注目しているのが分かる。

あー恥ずかしい、と思いながら、何事もなかったような顔をして乗り込んだ私の顔は、あまりの痛さにひきつっていた。今にも涙が出そうである。でもここで泣くものか、と幼心に決心し、家に帰って大声で泣いたのであった。

穴があったら入りたいとは、まさにこのことだと小学校4年の時に体験したのである。

今でも右足にあるかんぱちを見ると、その時のことを思い出し、あの時の運転手を恨む私であった。(H8.7.26)

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