あぁ、ヤモリちゃん・・・。

私はヤモリを飼っていたことがある。とは言っても、正確にはヤモリの卵であるが・・・。

私が小学校4、5年生の頃の夏休みである。私の家には古いステレオがあり、それのラジオの目盛りのところに時々ヤモリが卵を産むことがあった。

卵はとても小さく、小指の爪ぐらいの大きさである。初めは何とも思わず、そのまま見過ごしていた私であったが、ある時、ふと卵をかえしてみたらどうなるだろう、という好奇心から、卵を取ってみることにした。

 しかし、目盛りのカバーを引っ張ると、スルリーッと、卵は下に落ちてしまったのだ。あーーーっ、しまった!! 急いで卵を拾い上げてみると、3個中2個ひびが入っている。

でも、ひびが入ったぐらいでは大丈夫かもしれないと思った私は、ガラスの容器に脱脂綿をしき、その上に卵を置いて観察することにした。

しかし、1週間たっても2週間たっても卵がかえる様子はない。なぜだ? その時私は大事なことを忘れていたことに気付いた。卵は温めないとかえらないのではないか。もうすでに遅かったが、私は必死で手のひらで温め始めた。

しかし、そんなことが一日中できるわけがない。卵は再びガラスの容器に戻された。そして、夏休みも終わりに近づいた頃、ひびの入った卵は臭くなっていた。

結局、3個ともかえることはないと悟った私は、その卵を捨てたのであった。そして次は上手に取ろうと、ステレオの目盛りのところに目をやっていたが、我が家のヤモリは利口なのか、それっきり、その場所に卵を産むことはなかった。(H8.8.16)

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